検査万能の時代

治療を受ける気があってこそ検査を受けるべき。そうすれば徐々に大きくなっているとしても治療を受けていないから当然だと悠然と構えていることができていたかも。その前に、検査を受けて、不安を感じながら毎日を過ごすことがガンの大きくなるのを助長していたのかもしれません。

告知から1年8ヶ月ほど経った頃。ある朝、眼をさますと左耳が聞こえなくなり、これはガンが大きくなったことが原因で滲出性中耳炎を起こしたのだと考えました。痛みはなし。告知を受けた病院へでかけての内視鏡検査では、ガンのある上咽頭部が充血して大きく腫れている。腫瘍が耳管を圧迫しているようだが、詳しくはとMRI検査を薦められた。

ついでにセカンドオピニオンで知り合った医師からは、主治医でない気楽さからか、ガン細胞も上咽頭部にあるリンパ系の細胞だから風邪をひいたときには炎症を起こして腫れるときもあるといわれ、気を取り直したことも思い出します。案の定、2週間ほどで耳は回復し、その時の内視鏡での検査ではガンも縮小していました。

MRIの所見もだいたい想像通りで、1分ほど眺めて終わり。1万円ほどの価値はまったくなし。専門医になればなるほど、みずからの経験から安易に結論を導き出すことはせず、検査を十分行なってから結論を口にするのです。病院が混む理由でもあります。いまさらながら思うこと。