成り行きまかせの人生

ガンを患ったのには意味がある。とくに手術という手段が選択てきない上咽頭ガンを授かったのには、きっと理由があると今でも感じています。さぁ、長年、医学を学んできた君は、人生の最大の危機を迎えてどう対処するのだろうと、きっと試されているのです。


唯一示された治療法は抗がん剤放射線治療を併用する治療法だけで選択の余地がありません。脳や口腔に近く、気道の入り口に出来たガン。治療とはいえ、そこに強い放射線を当てることのデメリットは簡単に想像できました。唾液が出なくなる。食べ物を食べられなくなる。扁桃腺などのリンパ組織がダメージを受ける。風邪や感染症を引き起こしやすくなる。脳にヒットしたばあいはもちろん・・・サドンデスもあり。ひどいもんです。


先輩の患者さんたちのブログを拝見しました。治療の質がとんでもなくつらいことが分かりました。そもそもガン治療に楽なものはありません。しかも、これほどの過酷な治療を受けても、5年生存率が60パーセント程度だとは、まったくコストパフォーマンスが低すぎです。その上、この種のガンは遠隔転移することが極めて多く、治療後もせっせと病院に通い、転移が見つかればそれを治療する。そんなことを繰り返していれば、次第に身体の免疫力も低下し、いずれは負け戦の時を迎えるのは必定。ずっとガンとの闘いがエンドレスで続くことになる。ガンとの戦いが生活の大きなウェートを占めることになる。勝手な思い込みですが、そういう風に理解しました。また、他に治療法がないのだろうか。要するに、これで治るとのイメージが描けなかったのです。


他に方法がないものかと、ガンマナイフやサイバーナイフの施設へ相談しに出かけたこともありました。双方ともに標準の治療を受ける前に治療した場合のエビデンスが存在しないという理由で門前払いでした。後から考えれば、おなじピンポイントでの治療でも、そのときに重粒子線の治療を選択すればよかったのかもしれません。ガンマナイフやサイバーナイフは保健適応の治療機械ですので、だめもとで患者が望んでも使ってもらえません。使える疾患が限られているのです。もっとも、他に治療法がないという今のような段階では、使ってもらえるかもしれませんが、それではピンポイントでの治療効果がうすいことはだれの目にも明らかです。


過去をふり返る作業は続きます。