最後の最後の手段

腫瘍心理学者という肩書きのカール・サイモントン博士という人がいます。ガンに対する心理学的治療法にサイモントン療法というのがあって、そのページをみると、この方法でガンから生還した人も多数が存在するようです。心の持ち方でガンは治る・・・こともあるようです。ためしに費用を調べてみたところ、2日間のコースで28000円とありました。高いのか、安いのか、ちょっと微妙な金額設定を感じます。


あるとき、そのサイモントン博士が末期のガン患者の前で講演しました。「みなさん、やるべきことはやってきたのではないですか。あとは皆様のご先祖に助けを求めてください。あなたたちのご先祖はどれくらいいるのか想像してみてください。たぶん数え切れないほどいるのです。あなたが、どれだけ死に値するほど悪いことをしていたとしても、助けを求めれば、そのうちの1人ぐらいは助けようとしてくれるはずです」、そうです、だれであっても、ご先祖さんをたどっていけば、ガン細胞が増えていくのと同様に倍々にたどっていけることでしょう。私の感想は、天国にはどれほど亡くなった方がいるスペースがあるのだろうかなんて思ってしまいますね。まぁ、ジョークというかウィットというか、こんな話を聞くと、病状がどれほど深刻であっても、ほほえましく感じます。


最後に追いつめられれば、頼りになるのは医療よりは宗教なのかもしれません。その点では、キリスト教のほうが、命のなんたるかに関しての理解がすすんでいるように感じます。さんざん苦しんだ後に、亡くなった後に、故人の魂があの世に行く手助けをすると読経にあらわれる坊さんは、どうしても好きになれません。苦しんでいる立場の今にこそ、生きている今にこそ、救いの手をさしのべてほしいのです。葬式はどうでもよい。