最新医療における放射線治療

女優の樹木希林さんは、2004年に乳がんが発覚し、2005年1月に右乳房の全摘出手術を受けました。それから2年ほど経った2007年ごろ、同じ場所にがんが再発。そして、樹木さんは鹿児島県にある「UASオンコロジーセンター」に転院しました。この病院で行なわれているのは四次元ピンポイント照射療法というもの。この病院では、呼吸による位置の変化を取り込んで照射するという方法でガンの治療を行っている。樹木さんの乳がんはこの方法で消滅しました。しかし、今度は副腎や脊椎に転移が見つかったそうです。9月27日号の女性セブンの記事からです。


「続・お医者さんも知らない治療法教えます」という本にはこの治療法についての詳細が乗せられてあります。ガンを切らずに治すといえば放射線治療。いかに正常の組織には当てずに腫瘍組織だけに放射線を確実に照射するというのが理想的です。鹿児島にあるUASオンコロジーゼターの植松稔さんが開発した治療法は「フォーカル・ユニット」というもので、このシステムは次のとおり。放射線治療器リニアック(バリトン社製)とレントゲン装置(東芝製)、CT診断装置(シーメンス社製)を直線的に並べ、患者がベッドの下にひかれたレール上を直線的に装置の間を移動する。呼吸することなど微妙な変化に対応するチェーシング・ビーム装置を使い、毎回の照射時に毎回、位置を確認した上で照射を行なうとのこと。同様の治療機器にサイバーナイフノバリス、トモセラピーなど、3次元のピンポイント照射機器があります。しかし、これらの機器には照射精度やエネルギー量が不足する傾向があるようです。どの病院でも治療困難とされた末期ガンを含めて、相談があった患者さんの9割をこの装置での治療を行っているとのこと。土曜、日曜、祝日も治療間隔を開けずに治療を継続する。そして、全員を救えるわけではないが、とても治らないだろうという患者も治るケースがあるようです。自由診療なので費用が150〜200万円程度かかかり、その上に2〜3ヶ月の鹿児島での滞在費が必要だそうです。


ちなみに呼吸などによるガンの動きにサイバーナイフも対応可能とのこと。埼玉医科大学医療センター、仙台総合放射線クリニックなどで行なわれているのは、ガンの周囲に注射やカテーテルで金属マーカーを注入し、そのマーカーの位置を照射装置が追い求め、位置を修正しながら照射するというものです(アキュレイ社製)。土曜、日曜日にも治療を継続してやってもらえるというところに医療者としての姿勢、熱意を感じます。しかし、まず標準の治療を拒否している患者の治療を引き受けてくれるかどうかははなはだ疑問です。