私のセカンドオピニオン

ガンがわかって、セカンドオピニオンのようなものに出かけた時のことを思い出します。近くにある病院の耳鼻科に週一で、大学病院の教授クラスの医師が診察を受け持っているということなので、しかも、ガンに関して経験豊富な医師だとのことでしたので、その日を選んで受診したことがありました。


持参した診断書、レントゲン写真などを見た後、なぜか不機嫌で、できるだけ早く治療を受けるべきだと告げられました。そうしないと、顔の骨をお面を外すように切り取って手術することになるよ。実際にはありえないと思える怖い話もしてくれました。日頃からガン患者を診ているという医師の言葉だけにかなり不安にされられました。なぜ、怒るようにしゃべるのだろうか、それは患者のことを思ってくれているのだろうか、きっとそうではないと思います。治療をおこなわない患者の末路がどんなものか知っているのだろうと感じます。ノー天気に、丸山ワクチンを使って少しの間様子をみるという患者にいらだったのでしょう。治療をおこなったにもかかわらず再発し、なすすべがない患者を診ているのは間違いありません。ただ、治療を断わる患者がそうそういるとは思えません。いたとしても耳鼻科に診察に通うわけがありません。治療を受けても5年生存率が60%だという治療、過酷な治療経過をあえて薦めるからには、その理由があることは理解できました。


ほおっておいたらどうなるのか。統計では、ガンによる死亡原因のトップは肺ガン、次に大腸がんや肝臓ガンが続きます。上咽頭ガンでの死亡率は5%に満たないと思われます。大概の場合は、肺や脳や骨に転移して、その部位のガンが進行して命をなくすことになると思われます。治療を受けて再発、転移すれば、そのガンの進行はとても早まるからです。


そしてもう一つの疑問が、耳鼻科の医師は自分の患者がその後にガンが転移した場合に、その経過を把握しているのだろうかということです。一旦、再発もしくは転移すれば、治療法は限られてくるので、厳しい状況が予想されます。わたしがその立場であればどう考えるだろうか。ともかく、再発だけは起こさないようにしたいと考えるかもしれません。転移であれば、ガンセンターなどへ転院することが多いでしょう。再発を起こさないためには、出来るだけ広範囲に堪えられるだけの放射線量をかけ、抗がん剤の最大限を使用することがベスト。そのために免疫力が低下したとしてもそれはしかたがないと考えるかもしれません。一時が万事。医師の考えと患者の考えとは、一致することはありえません。そういう場合、どちらを優先するべきか。それは患者の考えであるべきです。耳鼻科の医師がすべて最後まで面倒をみるというのであれば、言葉に従ったかもしれませんが、それは医師の側でも望んでいないでしょう。重い話です。


中山武著「ガンがゆっくり消えていく」のなかで、堀田由浩医師(希望クリニック)は、原因を治すのは医師ではなく患者である。医師におまかせでは再発の可能性は高くなると述べています。患者が主役。それは最近読んだ本にもそのように書かれてありました。Drコトーのモデルとなった「Dr瀬戸上の離島診療所日記」です。