代替医療のラビリンス

最近、診察を受けに出かけている船戸クリニックでは待ち時間の間に足先を電器器具で暖めてくれたり、吸い玉療法や簡単なびわの葉温灸をおこなってくれます。だれにでもというわけではないでしょうが、とても快適な気分にさせられます。それでいて、医師との十分な診察代を加えての請求額が500円少々というところも気にいっているところです。まあ毎回というわけではないでしょうが。他に処方される漢方薬代2000円ちょっと別途かかります。でも、びわの葉温灸に抗がん効果があるなどとはまったく考えていないのです。


びわの葉にはアミグダリンという抗がん作用のあるビタミンが含まれているとのこと。ビタミンC療法でも自然界にないほど大量の点滴をして、やっとある患者に対してはガンを食い止めることができるかもしれないといった不確かな状況です。アミグダリンに抗がん作用があるとしても、お灸というかたちで、皮膚からどれだけ体内に吸収されてガンに作用するのだろうかと施術を受けている間に考えたりします。もう一つの根拠は、ガンは正常な細胞に比べて熱に弱いということです。ガン細胞に向う血管が脆弱だから、熱が加わることで血栓ができやすく血行が悪くなり、その結果、ガンが死滅するという理屈です。これに対しては昔から熱い温泉のようなところに入って我慢するといった温熱療法のようなものが試みられていましたが、これでガンから生還したという話は聞いたことがありません。毎日根気よく行う必要もあります。びわの葉療法を自分で毎日行う為の電気器具の値段を尋ねたところ、20万円ほどとのこと、とたんにやる気がまったく失せました。


そして、漢方医との3回目の診察の際、ある提案を受けました。手渡されたのが矢山クリニックというところのパンフレット。「難病・癌でもあきらめない」という題が目に入ります。帰ってから読んだところ、ガンや難治性のリウマチなどの原因に金属アレルギーがあり、歯にかぶせた金属、もしくはそこに巣食うばい菌が原因だというもの。毒物を排除する漢方薬や薬剤とともに歯科の治療を平行しておこなう。なんとなく莫大な費用がかかりそうです。病院のある九州まで出かけて入院して治療を受けるのであれば、今は家族以外に私がガンであることをだれも知らないのに、仕事から長期離脱するということは、ガンであることを公にするということをも意味します。親切に薦めてくれているぶん、どうしておだやかに断われるか。最近の悩み。代替医療の迷宮に入り込んだような気分です。