動物の医療とひとの医療の違い

仕事柄、自分がワンちゃんだったらどうしてもらいたいかなどと考えたりします。身体はワンちゃんで、頭のなかだけが飼い主といった気持ちで自分のガンを考えてみます。犬は人に比べると生きるスピードが4倍以上も早いこと、ガンを治療するべきか、治療しないかの選択することが飼い主にとって1番最初に考えるべきことです。犬は自分がガンであることが理解できません。当然ながら、ガンに負けないという気持ちも持てません。苦しい副作用のあとに、治癒ということを期待することもありません。だから治療の質を考えて治療しないという選択肢も大いにありです。

次に費用の問題も考える必要が有ります。人間の命はお金に換算できませんが動物はお金に換算できるというわけではありません。保険が効かない動物の医療、途中で経済的な理由で治療を中断すれば、痛みや副作用だけが残ることになりかねません。免疫力の低下によって、ガンが暴れまくって痛みが格段に増すことになるやもしれません。近年、大学病院あたりでは動物でも放射線治療が受けられるとのこと、動物はじっとしていないので毎回麻酔をかけての治療ということになります。そして、麻酔をかけれる体調かどうかの血液検査も毎回、必要でしょう。体重が人の10分の1でも費用は人よりもかかるかもしれません。

次に考えなければならないのは治療の質です。つらい副作用のでないように抗がん剤を加減することができるのは、動物医療にとっての利点かもしれません。エビデンスで凝り固まった人間のガン医療。 最近に読んだある医師が書いた本には、副作用がきつくとも出来るだけがまんして、きめられた抗がん剤の回数や量をきっちりこなすことが、しいては治療結果を上げて、生き残る道につながるのです。そんなふうに患者の心得が書かれてありました。それだったら、1回、自分が試しにその治療を受けてみろよ、と突っ込みたくなります。

そして幸いなことに、動物には最悪の場合でも、安楽死という手が残されています。飼い主はこの眠るがごとくに最後を迎えれる手段について、あらかじめ獣医師から説明を受けることが出来ます。それで、万が一の場合の安心感も増すことでしょう。人の場合は、意識のないまま生かされ続ける危険性があり、これではおちおち安心して治療を受けることが出来ません。スパゲッティ症候群にはなりたくあのません。その代わり、人には天国、パラダイスという死後の世界があります。動物の世界には極楽や地獄は存在しません。たぶんですが。世の中はうまく出来ています。私はワンちゃん並みの治療で結構です。犬にも丸山ワクチン。ちなみに、日本医科大学系列の日本獣医生命科学大学では犬に対する丸山ワクチンの治験をおこない始めているようです。