中耳炎の時の思い出

2009年11月11日、ガンを告知された日から1年4ヶ月ほどか経った時、急に朝起きると左の耳が聞こえなくなっていました。滲出性中耳炎というものです。私のガンは上咽頭ガンというもので、ガンのすぐわきには耳管の開口部があって、鼓膜の内側の内耳というところに連絡しています。ガンが大きくなれば耳管を圧迫して、結果的に内耳に滲出液がたまって耳が聞こえなくなります。そうすると鼓膜に穴を開けなければなりません。それは、ガンが大きくなったという証拠、原因がガンだけに、再び耳が聞こえるようになるとは、当然、思えないところです。


即刻に、ガンの告知を受けた総合病院の耳鼻科に出かけました。おざなりと感じる内視鏡での検査のあと、「ちょっと少し、大きくなっていますね」。 抗がん剤でのガン治療を断わったところです。いかにも、治療を受けないから、こんな状態になるのだといわんばかりです。ともあれ、状況を確認する意味で、MRI検査とPET診断を再び受ければと提案され予約をしました。断わった治療を、考え直して、今から受けたいと口に出しそうになりました。ウソです。病院を出たところで、今後の対処を考えているうちに、或る考えが頭の中に浮びました。それは、以前にセカンドオピニオンを受けた病院で、もう一度、診察を受けること。内視鏡ですこしながめただけ。その感想も告げてくれない。耳管を圧迫しているかどうかの説明もしてくれなかった・・・まだ11時半、午前中の診察時間に間に合いそうです。


以前にセカンドオピニオンに出かけた耳鼻科へ出かけました。あの女医さんです。ガンだからという先入観念がなく、入念に診察してくれたように感じます。(こう患者さん側から感じられる態度が重要です) ともあれ、「先月診たときと余り変化がないように見えます」「耳管の開口部はまだガンで圧迫されている様子ではありません」「もっとも、表面的な部分を見ているだけなのでなんとも言えませんが」 一応、中耳炎の際の標準的な治療薬である抗生物質と消炎剤(システィーン)を飲んでみればどうですか、との提案です。


痛みはまったくないし、もとより抗がん剤での治療は断わっている。女医さんの落ち着いた態度もあって、気持ちは静まっていきました。たとえ、ガンが大きくなったせいであっても、まだ反対の耳が聞こえている。耳が2つあって良かった。


思い出はここまで、次回に続きます。