抗がん剤はなぜ高価なのか

ガン患者さんの体験談やブログを読んでいつも気になるのが、お金に関しての話題があまり載せられていないこと。日本で使われている主な抗がん剤は20種類ほど。新しい薬ほど効果があるのか、高価のようです。リュープリンは1バイアル4万6千円。カルポプラチンは2万円ほどすると記載されてあります。抗がん剤は毎日注射するわけではないのでそれほど金額は増えないと思われますが、この抗がん剤を使用する際に使われる副作用止めの薬はさらに高価です。吐き気止めのカイトリルは1瓶が1万円。白血球増多剤のG-CSFは1回で1万8000円ほどするようです。副作用は1日では収まらないので副作用が続く限り連用することになるので、金額はうなぎのぼりになることでしょう。健康保険が効いて1割、2割負担なのでそれほど本人が持ち出すことがないせいなのでしょうか。ガン保険をかけているかたもいるでしょうし、あまりに高額になれば、国からの補助、月に約8万円以上は本人が医療費を負担することがないという有難いシステムが日本にはあります。でも、その財源はほとんど私たち国民が負担しているお金なのです。


なぜそれほど薬価が高いのかという疑問を持つ人も少ないようです。さらに薬価をもっと安くせよという主張もガン患者からはありません。当然のこと、高いと思うなら受けなければよいといわれるだけです。患者の家族からそんな主張はさらにできるわけがありません。唯一主張できそうなのがガン患者の団体だろうと思うのですが、その団体の活動に対して多額の寄付をしているのが、とうの抗がん剤を販売している製薬会社。とどのつまり、これからも健康保険財政がますます赤字が膨らむことは間違いありません。前回のブログに書いた、イレッサの裁判結果で製薬会社が負けたとしても、まったく製薬会社にとっては痛くないことでしょう。薬価に賠償金を上乗せすればいいだけ。薬価には製造に関わる原価のほかに、治験に要した費用が含まれているものと思われます。医療はビジネスだから仕方のないことなのでしょうか。ガン患者さんはなぜ不満の声をあげないのでしょうか。


私が受けている丸山ワクチンは有償治験薬。そんな、エビデンスが備わっていない治療に命をかけていると非難する人も多いことでしょうが、世間に対して迷惑をかけていない、健康保険に負担をかけていないという点では、胸をはりたい気分です。ガン告知から3年と4ヶ月、いまだに働ける喜びを日々感じると共に、健康保険税をちゃんと支払っていける状態であることをうれしく感じています。


動物の医療には公的な健康保険がないことはご承知のとおりです。医療費の全額が飼い主負担。私は犬や猫を診察する機会は少ないのですが、費用がかかりそうなときにはあらかじめこのぐらい費用がかかるということを提示して治療を行います。これは動物医療の世界では常識のことと思われます。ガンの場合は費用をかけてもそれに見合った結果がでるとき限りません。人間の医療でも、健康保険を一時期、廃止してみると、ガン患者に対する医療の側の対応も改善され、薬価も低くなるのでは、と考えたりします。