丸山ワクチンとコラーゲン

倉敷にある川崎医科大学の木本哲夫博士が丸山ワクチンに興味をもち、研究を始めた当初は、ガンとリンパ球の関連を主体に丸山ワクチンを用いて実験をおこなっていた。しかし、この組み合わせでは丸山ワクチンでガン細胞を殺すような免疫現象は認められなかった。1年ほど研究を続けていたところ、岡山労災病院乳がんの患者(43歳)が診察にやって来た。あちらこちらにガンが浸潤しており潰瘍をつくり、わきの下のリンパ節にも転移して腕が上がらない状態にある。貧血も強く、余命3ヶ月と思われる状態だった。ホルモン療法の一環として、卵巣を摘出したところ、卵巣にもすでに転移している。骨盤にも転移が確認された状態であった。通常の経過であれば、ガン性の腹膜炎を併発し腹水がたまり、すぐに危機的な状況になることが予想される。そこで、担当医を含めて相談の結果、丸山ワクチンを使ってみるという判断になった。4ヶ月ほどで潰瘍周囲の発赤が徐々に消えてきた。それで患者さんも喜んで病理標本を提供してくれる。1年が経つと、この潰瘍が完全に治り、瘢痕になってしまった。ガン性潰瘍が治るということはかつて無いこと。この患者さんは5年間、丸山ワクチンだけを続け、その間、入院もせずに働き続けた。残念なことに6年後に腹水がたまり始めた。腹水がたまる、腹水中のガンには丸山ワクチンは無効なのです。


振り返って、治療4ヶ月ごろの乳がんの病理組織を見るとガン細胞の周囲にいっぱい集まっていると思われたリンパ球はまったく見られません。ガン細胞を取り囲んでいるのは、強固な間質由来の、特に細血管からのコラーゲンでした。コラーゲンに完全に取り囲まれたガン細胞が、どんどん消えていく状況がはっきりわかります。この時初めてガン細胞に対しては、生体内ではむしろリンパ球よりもコラーゲンが重要であることに気づいたのです。5年ほど経った時の膣内から採取された組織片(骨盤内腫瘤の断片)の病理所見からは、ガン細胞がコラーゲンで置き換えられ消えていく過程がはっきり認められました。それで、ガン細胞の増殖速度が非常に遅くなり、6年間もの間、元気に働きながら生きつづける事ができた理由でした。さらによく見ると、ガン細胞自体がコラーゲンを出して消えていく所見もあります。ガンみずからがコラーゲンを作るという点が今後の課題です。胃ガンでは、コラーゲン量の多いスキルスがんが悪性であることは興味深い。


丸山ワクチンに魅せられてー或る病理学者の研究白書。上の文章はこの小冊子に書かれてある内容を要約したものです。丸山ワクチンに効果があると思っている患者は私だけではないようです。肝臓ガンを抱えたこの人も信じているようです。→ 丸山ワクチンさまさま