開運グッズ

ガンの宣告を受けたのが3年前の7月のことで、暑い夏が過ぎ、秋が来て、そのあとに冬が来て、半年後に春になった時には、ほとんどの冬服を処分しました。そのときも状態は悪くなかったけれど、5年生存率が60%のガン治療をも断わった身、来年の冬を再び迎えることができるとは想像できなかったのです。でも、これが誤算。3回の冬を経て、冬服が再びたまり始めました。告知から1年半ほど経ってから、息子にオヤジがガンであることを告げました。なぜ、それまで告げなかったといえば、まだまだ修行中、診療活動に専念してもらいたかったからです。でも、状態が悪くないことから、ガン治療に対して興味をもってもらう意味でも、告げることにしました。ところが・・・


その後、プライベートで息子が奈良方面へ遊びに出かけたあとのこと。 神社などを巡ってきたようですが、そのなかの一つがガン封じの神社かお寺さんであったとのこと。ガン封じのお守りを買って来てくれました。これには、うれしいというのと違う感覚もうまれました。


知らず知らずのうちに非科学的なものにすがっている自分がいるということです。私の場合でも、北枕はとりあえず止めておこう。おみくじを購入したら病気運の欄をみたくなる。ガンになってから神社仏閣に出かける機会が多くなったということがあります。それでなくとも、ガンの患者は○○水や○○石、○○パワーなど、難病の人限定の高額ビジネスの攻撃にさらされています。ともすれば自分自身を失いかけません。先祖のたたり、背後霊、狐つき、言霊、水子、ガンになった理由をそれら訳のわからない社会に結び付けようとするやからも存在します。


平穏な心で、それらを笑いとばせるようになってこそ、悟りの胸中を得た正しいガン患者になることができるのではと考えたりします。その超常現象をひとつひとつ論理的に解説している本を見つけました。「なぜ宇宙人は地球に来ない?」 ガン患者は一読に値すると思います。でも、まあ、神社仏閣めぐりは趣味としてこれからも続けたいと思っています。