薬剤感受性テスト

怪我をしたところが化膿して、なかなか治らないときに実施するのが、この簡易的な感受性テストです。感染を起こしているところを滅菌綿棒でぬぐって、寒天培地にこすり付けます。それをフラン器のなかで一晩ほど置いておくと、またたく間にばい菌のコロニーが出現します。 色々な抗生物質が染み込ませてある円形の濾紙が置かれてあるので、菌に効果のある抗生物質の周囲だけはコロニーができていません。この阻止円の大きさによって、どの抗生物質が効くのか判定できるのです。

化膿を引き起こすのはたいていの場合はブドウ球菌ですが、どの抗生物質が効くかはそれぞれ違っています。ガンがそれぞれ違っている顔をしているのと同様のことのように思えます。急速に増えるばい菌のコロニーを見ていると、それに対抗してくれる身体のなかの自衛隊である白血球は極めて重要だと感じます。常に臨戦態勢になければ、菌の増殖に追いつかないでしょう。白血球へのダメージが副作用として存在する抗がん剤使用はもってのほかだと感じます。


この薬剤感受性テストを数多く行った経験からは、ペニシリンに阻止円ができた検体はいままで一つも認めたことがありません。目に見えないような小さなばい菌ですが、学習能力はかなり高い、あなどれません。かつてはペニシリンは人々の命を救っていたのです。