思いやりのないコメント

「先日面白い記事を発見しました。その名も○○療法。ガンがこれで治るそうです。ぜひ試してみる価値はあるのでは?」と、こんな文面のコメントが送られてきて、其の先にリンク先が載せられてありました。ガン患者がこんな文面を読めばどんな気持ちになるでしょう? 即刻削除させていただきました。第一にフェアじゃない。自分の体験談ではなく、ただ試してみてはと薦めているだけ。安全な立場からの発言には、腹立たしさを感じます。


以前の記事に対するコメントにも違和を感じるものがありました。 「犬が、抗がん剤の副作用で直ぐに死んだ話も私の廻りで何件か聞きました。それまでは元気だったのに・・・」というもの。わたし的にはありえないと思える話です。人間とは違って犬や猫のガンの場合、発見されるのが遅い為もあって不幸なケースになることも多い。動物病院側にすれば最も恐れるのが、このコメントにあったようなうわさが発生すること。十分に副作用について説明し、納得をしてもらった上で治療にかかるのが常識だと思うからです。治るということを前提にして病院に出かけるわけですから、ガンを相手にするのには、事前に十分にケアについて話し合わなければなりません。副作用の害だけでなく、治療を行っても病状がどんどん進行していくケースも少なくありません。それに対して、どれだけのことをやってあげるのか最初から話し合って治療を進めていくのが動物医療の世界では常識なのです。さらに、抗がん剤のほどんどが高価な薬。お金はいくらかかってもよい、できるだけのことをやってほしいという飼い主さんも、思いのほかかかりすぎた金額を見て、支払いを渋るという話はこれこそ、よく耳にするこわいお話です。健康保険もありません。私だったら、診断や治療設備の整った大学病院を紹介するでしょう。さらに、人間のガン患者さんがこれを読んで、どう思うかぐらい考えられないのだろうか。自分が抗がん剤を薦められている立場にはなれないのだろうかと。笑ってやりすごす余裕が減ったぶん、免疫力がさらに低下したように感じてきました。