ガン年齢の人からの相談

最近、ふたりの知り合いから同じような相談を受けました。どちらも病院で検査をうけたところ腫瘍マーカーがグレイゾーンにあるということでどうしたら良いかという相談です。腫瘍マーカーの検査を受けるということは、その前にガンの疑いのある症状があったわけで、内心はクロに近いと悟っていることでしょう。相手は私が獣医師であることを知っていての相談ですから、安保徹教授のように、ガンであることが分かっても3大治療法は受けてはならない、ガンはある意味、風邪よりも軽い病気などと答えれば、あきれられるのは必定、今まで築いてきた信用が一気になくなるかもしれません。こんな質問をされたときのためにマニュアルを考えてみました。


最近はガンの治療法が進歩して治るようになった、というのは疑わしいと思っている。ガンが治るようになったというのは、検査の方法が進化して、ガンが小さい段階で見つかる、もしくはガンになる以前の状態で治療が始められるようになったのがその理由だと思っている。イレッサなど分子標的薬という、いかにも効きそうな名前の薬も登場してきた。でも、患者が望めば、どんなガンにでも適応されるというわけではない。肺ガンであっても適応されるタイプは限られている。死につながる副作用が常に付随する。治療を受けたときの5年生存率の数字はあまり意味がない。患者とすれば、5年さえ生きられば満足というわけではない。どう生きておられるかも大事なこと。生存率などの数字をならべられるより、必ず治るというような主観からの言葉を使ってくれる医師のほうが信頼できると思う。抗がん剤は10年、20年前からのおなじ薬剤が今も使用されている。白血球が減少して、身体の抵抗力が低下するという副作用がかならずある。白血球を増やすという薬があり、いくらかは副作用が軽減されているようだが、これはガンが治ることとは無関係。手術にしても放射線治療にしても、ガン組織だけではなくてマージンを広くとる意味はすこしでもガンを取り残すとそれが再発するということ。IMRT、ガンマナイフ、サイバーナイフなど、ガン細胞だけを攻撃して、周辺の正常組織を傷つけないという最新の治療機械が登場しているけど、それの適応になるのはどれだけか疑問だと思っている。もっとも、医師からこの器械での治療を薦められたのであれば、ガンが極めて初期の段階にあるということなので、即刻に治療を受け入れたほうが良いのかもしれない。丸山ワクチンという古典的な免疫療法があるけど、これはガンが確定する前から始めたほうが良いといわれている。その理由は副作用がまったくない治療法だから。これから検査が続くだろうけど、丸山ワクチンも検討しておけばどうだろう。これからも状況を教えてね。