ガン発見から3年目の夏

3年前にガンと告げられたときに治療を断わったのは、厳しいであろう治療を受けても5年生存率が60パーセントであると言われたからでもある。90%だったら治療を受け入れていたかもしれない。治療を受ける患者はだれしも、5年以内に亡くなる側になるとは考えていないだろう。 体力に自信がないとか他に持病を抱えていて40%の側になると考えた患者は治療を受けないという選択をするはず。治療に対して希望的感触を持つ患者だけが治療を受ける。要するに、上咽頭ガンに対する治療成績、5年生存率は50パーセントぐらいと低めに考えても間違いではないだろう。しかも5年経った時点で、60%の側になった人が健康を取り戻した生活をおくっているという保証はない。ベッドに横たわったままの人もいるだろう。転移して苦悩の日々を送っている人もいるだろう。治療を断わっている私は5年後の時点で、普段どおりの生活がおくれていれば、治療を断わるという選択は正しかったことになる。治療を受けていれば私は5年後には死亡している40%のほうに含まれると感じていたから。


今まで知人でガンに患った人が10名ほどいる、これは以前にも書き記したこと。治療を受けた人の中でガンから生還し、現在も元気にしているのは以前に書いたS字結腸ガンの一人だけ。一番に思い出に残る同年の友人は、骨折で入院中に検査でガンが判明し、ほぼ半年後に黒塗りのワゴン車で退院することになった。ガンが判明すれば医師は治療を薦める。これは動物の医療でもおなじこと。もうすこし何もしないで様子を見ましょうなどと告げれば、藪医者と思われる、もしくは手術する自信が無いのだと解釈される、というよりも治療する時期を遅らせたことへの責任を追及されるかもしれない。早期発見、早期治療が最大の有効なガン治療の為のキャッチコピー。しかも医師の側にとってもビジネスチャンスとも言える。みすみす収入の機会を逃す医師は経営センスが欠如している。医師は治療を受けないほうが良いと告げれなくとも、治療を受けることのリスクぐらいは説明するのが親切というものだ。なかには進行の遅いガンもあるとは患者が自分で判断するしかない。そして、その決断が正しければうれしいが、間違っていれば死が待ち構えているだけ。


治療を断わって3年が過ぎた。最近に感じてきたことはあとの2年がちょっと厳しくなるだろうということ。ガンが消えてなくなっている可能性もわずかに残されているとも信じている。先日、ガン患者組織、ジャパンウェルネスの会員期限が7月で切れ、更新手続きをするよう案内の手紙が、振り込み用紙同封で送られてきた。とりあえず、よろこばしいこと。あと2年分前払いしたいので、割引料金にしてもらないでしょうか?