そろそろピロキシカムを使うべきか

ガンを患っている犬に対してもっぱら処方されるのがピロキシカムという薬。非ステロイド系消炎剤(NSAIDs)に分類される薬であり、関節痛、腰痛、外傷後の消炎鎮痛剤としてもっぱら使用されている。このピロキシカムが膀胱癌に対して、腫瘍の増殖を抑えたという報告がありました。最近では、膀胱癌のみならず様々な腫瘍での抗腫瘍効果が報告されています。副作用が軽微であることから、これもやっておこうといったのりで使われることが多いのでしょう。

癌細胞にはシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)が発現し、癌の増殖や転移に重要な役割を担っていることが分かりました。COX−2はプロスタグランジンを産生し、体の免疫機能を落としたり、癌が成長するための血管を新生したり、細胞が寿命死する(アポトーシス)するのを抑制したりします。そのため、がん細胞は際限なく増殖を続けるのです。NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することによりプロスタグランジン産生を阻害し、腫瘍の増殖を抑制するのです。現在のところ、数多くあるNSAIDsの中でピロキシカムという薬剤の効果がもっとも多く報告されています。癌に関連するといわれているCOX−2選択阻害剤の研究が行われています。

作用機序としてはこんなところのようです。緩和ケアでも最初に処方される痛み止めの薬が非ステロイド系消炎剤(NSAIDs)ですから、抗がん作用があることを考えれば積極的に使いたくなります。しかも、比較的に安価なことも大きな利点です。ただし、長期使用になることから胃潰瘍などの消化器障害や腎障害に気をつける必要もあります。


その他に注目している薬にノスカピンがあります。昔から咳止めとしてポピュラーな薬ですが、こちらも抗がん作用が認められているようです。作用機序についてはこれから勉強してみたいと思います。