悪評たたず、支持もされず

論文は雑誌12ページ分の短いものである。人々はこの論文を読んで、結核ワクチンでガンを治療できるというところに、一様に頸をかしげたようである。だが、丸山のあの論文は山勘であるとか、ハッタリであるとかいった批評はまったくなかった。それだけでも私は安心した。内科の先生たちは、私の心臓の大きさが再び元に戻ることはないだろうと言っていたのに、入院3ヶ月後にはほぼ元通りになった。以来、わしは心臓の薬をのんだこともないが、発作は一度も再発していない。

私の論文は無視こそされはしなかったが、しかし、おおかたの支持を得たわけではなかった。むしろ、
だれからも理解されなかったのではあるまいか。本当に理解されるには、1人でも多くガン患者を治すことしか方法はない。

患者のほうから「丸山ワクチンを使いたい」と申し出ても頭ごなしに拒否されるのがほとんどだった。私たちのほうでも、患者と担当医のあいだにトラブルがひき起されることを恐れ、担当医の承諾をもらえる患者にのみ丸山ワクチンを渡すようにしてきた。そんなわけだから、私のもとにってくる患者たちは、すでにあらゆる療法をこころみたあとで、ワラをもつかむ思いで丸山ワクチンをためしてみようとていう末期ガンの患者ばかりだった。医師のほうも、それで患者の気がすむならと、承諾書を書くわけである。


現在、膀胱ガンに対してBCGが認められているごとく、結核ワクチンがガンに対して何らかの効果があることは十分考えうることで、問題は独特の接種方法です。濃度の高いA液と濃度の低いB液を一日おきに注射するという方法が最善だという理由がいまいち理解しづらいところです。BCGのように直接、患部と接触するようにさせればどうなるだろうか? であれば、濃度の高いA液のさらに10倍高い濃度に調整されたアンサー20(放射線療法による白血球減少抑制剤)の方がふさわしいとも考えたりします。さてさて、どんなものだろう。このことを考えたりする際にはいつもエビデンスの重要性に思い当たります。いろいろ接種方法を変えてやってみたという丸山先生、そのやってみたデータを見せていただきたいのですが。