今までに出会ったガンを患った人々

送られてきたコメントへの返信文面を考えるのがおっくうになってきました。病状をお察しいただき、あしからずご了承ください。


今までの人生で出会った、ガンを患った知人は10名ほど。その中で現在も生存しているのは2名だけ。そのうちの一人は、今年がガンの手術からちょうど5年目にあたるという。詳しく話を聞いた。でも、目の前にいる人間が同じくガンを患っている者とは思っていない。仕事で海外に出ることになって健康診断を受けておくということになった。その際の胃カメラでガンが発見された。内視鏡手術も適応と考えられるレベルだったようだが、受診した病院では経験度が低かった。紹介状を書くといわれたが、まあ、いいかと考えて従来の術式で行なってもらったという。どんなに小さなガンであっても胃の3分の2を取り去るというのが標準治療だった。現在は思い通りの人生を楽しんでいる。でも、ガンの手術をしたことで海外への赴任はキャンセルになった。もう1人は2年前に前立腺ガンの宣告を受けた義父で、現在はホルモン治療だけで、なんら不自由を感じていない状態にある。


胸をはだけて大きな傷口を見せて「やぁ 命びろいをしたよ〜」と明るく話をしてくれた人は1年後ぐらいして天国に旅立たれた。 知人ではないが同業者の方、仕事を1年ほど休んでがん治療に専念したあと仕事に復帰されたと聞いたが、その後2ヶ月ほどして亡くなられた。これは、きっと本人だけが治ったと思っていたのだろうと思う。以前からガンを恐れていて定期健診をかかさなかった人がいた。その検診でガンが見つかり治療を行った。早期発見に違いないと安心していたが、半年ほどで他界された。食べ物が胃に入っていかない状態で緊急手術となった食道ガンのひとは1年半ほどを生きた。でも、その間、ついに仕事に復帰することはなかった。動物病院を新しく建ててまもなくガンを発症した仲間は、多額のローンを抱えていたであろうなかで天国に行くはめになった。肝硬変から肝臓ガンに移行した人は、動けなくなり緊急入院。見舞いに行くたびに顔色が悪くなり、退院することなく3ヶ月ほどでお亡くなりになった。つい最近は同じ年の知人のケース。骨折で入院したあと6ヶ月を経ても退院してこない。うわさでは再手術をおこなったからだという。その後、1年ほどして訃報が届いた。入院中の検査でガンが見つかったとのこと。手術はガンのためのものだったようだ。


ガン患者は自分がガンであることをあまり他人には知らせようとしない。だから詳しい情報は伝わることがない場合が多い。だから、その体験が、良かれ悪かれ、周囲の人に伝えられ、その経験が生かされることがほとんどないのではと感じる。近年、ガンは治るようになった、という情報を疑うようになったのはわたしの個人的な体験、もしくは偏見によるものだ。もっとガン医療の現場に近いところにいる人の意見を聞いてみたいような気分だ。