分かってきたガンを治す免疫

なぜ、ガン細胞が増殖するのか? 日常生活のなかでガン細胞を排除するための免疫が働かないとき、つまり免疫不全状態になるときがあるからです。たとえば、強いストレスを受けたときは免疫不全状態になります。強いストレスを受けると、身体はそのストレスに耐えようとして、ステロイドホルモンを大量に分泌します。すりと、ステロイドホルモンは免疫細胞を殺してしまい、免疫細胞がいない状態、つまり免疫不全状態になってしまいます。免疫不全状態は免疫細胞が再び作られて免疫システムが回復するまでの間、数日続きますので、その間にガン細胞が発生すると、ガンは育っていくのです。

正常な細胞はすべて事故の目印(HLA分子)を持っています。ガン化した細胞はこの目印にガン細胞に関連したタンパク質情報を結合させ変化を起こすので、免疫細胞はその異物化した目印に反応して攻撃を加えます。しかし、一旦ガン細胞が育っていくと、ガン細胞のなかには、異物化した目印そのものを隠してしまうものが現れ、免疫細胞からの攻撃をのがれるようになります。さらに、ガン細胞は、免疫細胞の働きを弱めてしまう物質を出して、免疫細胞による攻撃力を弱めてしまいます。 こうなってしまうと免疫の働きだけで、ガン細胞を排除できなくなり、どんどんガン細胞が増殖することになるのです。(分かってきたガンを治す免疫)より



これを読むと、ガン細胞自体が知能を有しているように感じる。 だから、戦争のように敵の陣地にアバウトに爆弾を投下する方法は適切ではない。味方にも犠牲がでて士気も低下する。実際、効果は上がっていない。敵は思う以上にと賢いことを医師や患者は自覚しなければならない。手間のかかることでありが一つ一つのガン細胞をつぶしていく方法が、結果的にはガンから脱却する早道になる。その為の、ガン細胞が自己の異物化した目印を隠す仕組みについても、少しずつ明らかになっているようだ。それはガンに対して分子標的薬でという方向性とはまったく違っている。分子標的薬はあくまでも薬を開発することが前提になっており、エビデンスが確認され、商品化されたときには莫大な利益を生むという思考過程から生まれてきたものである。治るために必要なものは薬という概念は間違っているのでは。ガンを治す方法は、従来の考えかたを変えることから生まれてくるのではと想像する。そして、それは確かに、今、生まれてきつつあるのを感じている。