大丈夫や。きっと、うまくいく

人間の一生とは、まことに冥土のなかをさまようごとしです。人間はそれぞれ、そのときそのときに自分なりの孤独を抱えて生きています。とくに自分自身の健康が損なわれたときには、「何でこのおれだけが」と情けなくなり、孤独を感じます。そのような孤独感や孤立感から逃れる為に、不動心を獲得したい。孤独になりきったとき、心は自由になっています。心は何ものにも揺るぎません。それが不動心です。そのときになって初めて明るい自分が見えてきます。孤独だから不幸であるとか、これは他人と比較することではありません。孤独をありのままに認め、それを恥じも外聞もなく人前にさらけ出す。それが不動心です。悟りです。悟りとは「差取り」です。つまり、いっさいの私心や差別を取り除いた天地大自然と一体のビクともしない心の姿です。


サーカスの象は、一トンの物体を鼻で軽々と持ち上げることができる力があるのに、ちいさな木の杭につながれておとなしくしています。これはちいさいときからビクともしない鉄杭に繋がれ通しで育てられてきたからだそうです。そのような環境で育ってしまうと、つながれただけで、「もう、ダメだ」とあきらめてしまいます。象は鉄と木の区別がつかないのです。あきらめは最大の敵です。見えない壁、存在しない重さを、存在するものと錯覚して引き下がってしまうひとがどれだけ多いことか。どんな困難に出会っても、とにかくあきらめずに立ち向かっていくことです。


京都大徳寺大仙院住職 尾関宗園さんの「大丈夫や!きっと、うまくいく」という本より。ご住職はガンを体験されているお仲間。あきらめこそ人生最大の敵です。この本を読むことで勇気がわいてくる。