古典的免疫治療薬(ピシバニール)を併用したガン治験―(3)

植物の芽がでたあとに葉が茂り、花が咲いてそしてそれが実になる。ゲノムの発現には順序があって、遺伝子はたいてい普段は休眠しているということになる。それぞれの遺伝情報が実行にうつされるには、トリガーとなるもの、サイトカインなどの感作が必要だと理解される。免疫システムも普段は休眠しており、異物が体内に侵入したときに目覚め、身体を防衛する仕組みが発揮される。ピシバニールは溶血性レンサ球菌を加熱処理した生物学的製剤で丸山ワクチンとおなじ非特異的免疫治療薬だ。全菌体製剤には多くの成分が含まれており、そのうちに抗腫瘍効果がみとめられる成分も含まれている。そして近年、抗原提示細胞である樹状細胞(DC)を成熟させて、キラーT細胞を活性化させる成分も含まれることが分かってきた。

放射線抗がん剤による標準の治療にピシバニール治療を加えることにより、その治験成績が向上した。ピシバニールは抗がん免疫反応を活性化するサイトカイン(インターフェロン・ガンマなど)のみならず抗がん免疫反応を抑制するサイトカインも活性化させることがわかった。表からは、放射線抗がん剤、ピシバニールを組み合わせることで、抗がん免疫反応を抑制するサイトカイン(インターロイキン10とTGF-β)の産生が抑制されることが理解できる。抗がん免疫反応を抑制するサイトカイン(Th-2)はアレルギー反応を示し、交感神経と副交感神経のように免疫のフィードバック機能として働いている。

腫瘍内に投与した樹状細胞がガン抗原を効率よくとりこむためにはガン細胞がアポトージスになっている必要がある。抗がん剤TS-1を先行投与しのち樹状細胞を腫瘍内に投与して、次にピシバニールによりこれを成熟させ、治療効果を得るという実験がおこなわれた。マウスによる実験で腫瘍が完全に消失したことが確認された。その後、難治性口腔ガンに対する抗がん剤およびピシバニール併用樹状細胞腫瘍内投与療法の臨床テストが行なわれた。次の表に結果が示されている。グレード3以上の重篤な副作用は認められなかった。同治療が標準治療抵抗性口腔ガンにたいして、安全かつ有効な治療法であること、ピシバニールが樹状細胞療法の有効なアジュバンドとなる可能性が強く示された結果となった。


 
昨日、鼻をかんだら大きなゼリー状の痰がでた。それでやや聴力が復活した。今日はちょっと気分が良い。病状が・・・3歩すすんで・・・2歩さがる・・・♪ 自分の声が元に戻った。