アジュバンド免疫細胞療法

思い起こせば、5年後に生きている確率が60%だという治療法を当然のごとくガン患者に薦める医師に対して、その自信はどこから来ているのか疑問を感じつつ治療を断わった。2年半前のこと。はたしてこの決断は正しかったのか。しこりを感じる、自分の発する声が変に聞こえるようになったとの現在の状況を考えるとやっぱり医師の言う事は正しかったのかと、ともすれば落ち込む気持ちになる最近である。身内の家族からも、なぜ医師が薦める治療を断わったのよと責めるよう気持ちを感じる。これが憂鬱な気持ちをさらに大きくさせる。


最近に一冊の本を読んだことで、心のなかに再び、明るい光が差し込んできた。その本とは、谷口克著「見えてきたがんを治す免疫」という本だ。2010年10月1日の発刊。免疫の仕組みを分かりやすく書かれた本で、そのなに「アジュバンド免疫細胞療法」という治療が現在、治験段階にあると書かれてあった。NKT細胞を使った免疫治療法で、肺ガンに対する治験では従来の治療法で効果の認められない難治性のガン患者に使用したところ、大幅な生存延長が認められたという。本質的に、どんなガンに対しても有効な治療法と考えられる。20年ほど前にNKT細胞を最初に発見したのが谷口医師のグループだった。その発見が現在は治療に応用されるまで育ってきているという。ナチュラルキラー細胞とキラーT細胞の機能を併せ持った細胞(NKT細胞)を使った治療法の内容については、おいおいこのブログにも載せていくつもりだ。


私を含む現在のガン患者がこの治療法の恩恵にあずかることはないであろう。保険適応になり、ルーチンに患者に使われるまでにはまだまだ長い道のりがある。しかし、ガンがどのように発生して、なぜ免疫が働かずに大きくなるのか、現在のペプチドワクチンの効果がそれほどでない理由についても理解が深まる。ガン治療に明るい未来があると感じさせてくれる内容だ。患者さんには、ぜひ一読をお勧めしたい本で、とりあえず本文の62ページから読まれると理解しやすいのではと思います。


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