古典的免疫治療薬(ピシバニール)を併用したガン治験

インターネット上の医学検索サイトを自由に閲覧できることが私が獣医師であるメリット。ピシバニールに関する治験が2006年におこなわれ、その治療成績は極めて高いものだった。


頭頸部癌。放射線とフルオロウラシル系抗がん剤(5-FU)に免疫療法剤 ピシバニールを併用することで治療効果が有意に向上したという報告。徳島大学 口腔腫瘍制御学分野の岡本正人さんと佐藤光信さんによるもの。


徳島大学歯学部第二口腔外科にて治療された頭頸部癌患者67名に対して、一次治療として放射線+UFT+ピシバニールで治療をおこなった。放射線療法はリニアック照射を1日2グレイでトータル60グレイ、UFTは300〜400mg/day の経口投与、ピシバニールは3〜5KE/weekを皮内もしくは腫瘍内に投与した。放射線治療終了より4週間後に生検を行い、病理組織学的検索を行なった。放射線治療+UFTのみ施行されたガン患者14名についても同様に評価し、比較検討された。


67例中38例(56.7%)が完全奏効、29例に部分奏効が認められ奏効率は100%であった。一方、ピシバニール無しの14例については奏効率が2例(14.3%)、部分奏効12例、こちらも奏効率は100%であったが、完全奏効の割合が少なく、全生存率、無病生存率においてもピシバニールを併用した群のほうが大幅な延長が認められた。ピシバニールは原発腫瘍の縮小効果のみならず、再発・後発転移の抑制にも重要な役割を演じており、生存延長に大きく寄与している可能性が強く示唆されるという結果だった。


ピシバニールはA群溶血性レンサ球菌を加熱処理し凍結乾燥した生物学的製剤であり、多くの癌腫において有効性が報告されている。さらに近年抗原提示細胞である樹状細胞を成熟させることにより癌抗原特異的細胞障害性T細胞を誘導することが報告されている。


詳細については、また後日。



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