死亡を知らせる手紙

私のガンは鼻の奥にある上咽頭のガン、脳に近い部分にあるので手術は不可、放射線抗がん剤を勧められ、その治療は断わった。だって、苦しい治療を受けたって5年以上生きれる確率が60%だと告げられたからだ。先日の風邪の後、咳が出るようになった。とたんに肺への転移を考えてしまった。原発巣が大きくならなくとも安心は出来ない。今度、ペット検査をおこなったときには全身にガンが散らばっていたなんてことになるかもしれない。そのときにはとるべき選択枝はない。もっと鍛えるべきは精神力か。まだまだ悟りを得る段階には程遠い。


お葬式をする意味のひとつには社会的に死を知らせることがある。家族葬では葬式の後に死亡を知らせる手紙を出す。その内容には、故人の名前、死亡日時、死亡原因、死亡年齢、臨終の様子、遺族の気持ち、葬儀をすでにすませたことを報告、それが故人の意思であることも添えて、故人の思い出、生前の厚誼へのお礼などを記す。なお、死亡を知らせる手紙には時候のあいさつは省略する。


将来の文面をエンディングノートに残しておこう。


去る○年○月○日、父 ○○が永眠したことをお伝え申し上げます。享年○○才でございました。

故人が上咽頭ガンとの宣告を受けたのは平成20年7月7日のことでした。それでも日常生活には不都合なく、つい最近まで仕事をこなし元気一杯に過ごしておりましたので、いまだに信じられない思いでございます。臨終のさいは、子供や孫(まだ居ませんが)に見守られての安らかな別れでありました。

葬儀は、故人の強い意志により、自由葬無宗教)に加え、家族葬でしめやかに執り行いました。ご報告が遅れましたこと、はなはだ勝手ではございますが、なにとぞご了承いただきたくお願い申し上げます。なお、お供物、お香典等につきましてはご辞退申し上げております。お気持ちだけを頂戴するようにと、これも生前に故人から申し伝えられていたことです。

ガンを患った際に丸山ワクチンを選択しましたのは本人の意思でした。おかげさまで、その後はガンも大きくならず普通の生活を送っておりました。今回、老衰(ほんのジョークのつもり)との形で旅立ったこと、父は幸せな人生を最後までおくった、はたから見てそのように感じられた次第です。

ここに改めまして、父、○○ ○○ が生前賜りましたご厚情に、残された家族一同、心から御礼申し上げるとともに、謹んでご報告申し上げます。



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