獣医師が病人になったとき

日本には国民健康保険という公的保険制度があります。一方、アメリカには公的保険制度がなく、民間の保険しかないので、貧乏人は病気になってもおいそれと病院にかかれないといわれています。ちょっと治療を受けただけで高額の医療費を請求されたという話もよく耳にします。その非難されているアメリカの医療の質が高いのはなぜでしょう。日本では、大勢の患者であふれている待合室、これなら医師のほうも高い経験を積み、医療の質も向上するはずだということを感じたりします。


動物病院のシステムがちょうどアメリカの医療制度と同じようなものではないかと思ったりします。あるのは民間の保険だけ。提示されている費用も病院によって様々です。病気の内容によって出かける動物病院を選択するかしこい飼い主さんも少なくありません。単純な病気や処置の場合は料金が安いところにする。ややこしい病気のときは、評判の良いところにでかけるといったところです。


患者が自分で治療費を負担するシステムの一番のメリットは費用対効果、どんな検査が必要か、どんな治療が必要かの説明を受け、その費用の見積もりを聞いてから治療に入れることです。獣医師の側にとっても十分な説明をしてから治療を開始しなければ支払の段階で渋って払ってくれない可能性があります。


予約をとっているのに1時間以上も待たされた上、勝手にCTやMIRなど高額な検査を行なわれ、有無を言わさずに検査費、治療費を支払わせられる患者が黙っているのは、自己負担が一割もしくは三割負担でしかないからでしょう。だれもが責任を負わないというシステム。この国民皆健康保険制度が破綻しかけているのも当然のことでしょう。待合室で待たされたときに考えたこと。日本の医療システムは問題が多すぎる。