非人道的な治験

丸山ワクチンの申請の際に提出された治験のひとつが、東北地方の病院で2重盲検法を使って行なわれたテストでした。対象となったガンには、胃ガンや食道ガン、すい臓がんなどいろいろな消化器のガンが含まれていました。倫理上の理由から抗がん剤をまず全体に使用したあとで、A群とB群の2つに分け、A群には丸山ワクチンを使用し、B群には生理食塩水を使用して比べてみたものです。東北6県の36の病院で、合計212の症例が選ばれていました。痛みに対する効果とか延命効果とか縮小効果などの判定の仕方はあるのでしょうが、結果的に丸山ワクチンを使った患者のほうに3名の生存者が生まれたようです。


じゃあ、一体、整理食塩水を打たれていた患者の気持ちはどうなるのか、ひょっとすると助かっていた患者もいたのではないかという気が当然することでしょう。ガンに対してだけは2重盲検法であっても問題があるように感じるところです。 もっともその後、3名の生存者はがんもどき〔ステージが低いガン〕であった可能性があるとのことで、この治験そのものが検討対象からはずされたようです。いろいろな部位のガンをひっくるめて対象にしたのもおかしいという非難もおこされたようです。


医学界からの丸山ワンチンへのパッシングはとどまるところがありません。薬として承認を受ける前から丸山先生はガン患者に対して、丸山ワクチンを使っていました。これも問題になりました。まず、動物への試験を経た後、人間に試してみるべきとの非難です。丸山ワクチンはもともと皮膚結核の薬あったことから、ガン患者に使っても十分に安全であると確信したうえで使われていたのですから、この非難もピントはずれの非難でした。


もっとも、ネズミを使った動物試験も行われたようですが、結果はあまり芳しいものではないようでした。実験に使われたガンは滝沢肉腫など、代々実験室で継代してきたガン細胞で成長速度が速い、つまり実験結果が分かりやすいように人によって操作されたガンです。実際の人のガンの成長スピードはダブリングタイムが16〜60時間、その10倍以上もあるガンも存在します。丸山ワクチンがガンの周囲をコラーゲンで固めるという仮説からは、成長スピードの早いネズミのガンには無効だったのかもしれません。丸山ワクチンは人型結核菌をつかったツベルクリンから副作用の原因となる物質を除去して作れられたもの。牛型結核菌を使ったBCGが膀胱ガンに対して抗がん薬剤として認可を受けている現状から判断すれば、丸山ワクチンに効果がないという人は思考パターンに問題があると思わざるをえませんね。


個人的にも効いてほしいけど、なかなか、厳しい状況です。