抗がん剤に抗原提示作用?

先日、読み直した、臼田篤伸著「抗がん剤は転移促進剤」の159ページ。抗がん剤に抗原提示作用? との見出しがあります。副作用が出ない量を基準にして、少量の抗がん剤をガン患者に処方している梅沢充医師についての記述があります。少ない量であっても、腫瘍マーカー値が予想に反して下がることに気づいた。本来ならば、抗がん剤を減らせば、ガン細胞を殺す力が落ちるので、腫瘍マーカー値が下がることはありえません。腫瘍マーカーが下がった理由を梅澤医師は、少量の抗がん剤がガン細胞をちょっとだけ傷つけたために、体に抗原を認識させるよう作用し、それまで押さえ込まれていた免疫力がガン細胞に作用したのではないか、との仮説を考えました。


多くの医師が次のことに気づいているようです。標準的な抗がん剤治療を受ければ、確かに高い奏効率が得られます。がん病巣はおもしろいように縮小します。しかし、長生きしないのです。数ヶ月の延命のために副作用で苦しむ患者さんもいます。そんな状態を本当に患者さんは望んでいたのでしょうか?と・・・現在、少量の抗がん剤を用いた治療が、全国でひとつの大きな流れとなっているようです。なかでも少量FP療法はすでに全国各地に普及し、よく知られているとあります。FP療法 とは5-FU(フルオロウラシル)と、シスプラチンを併用する治療法のことです。この抗がん剤の組み合わせは上咽頭ガンに使われる抗がん剤の組み合わせと一緒のものです。すこし興味がひかれるところです。少量FP療法、もしくはLow DoseFP療法でネット検索をかけてみました。食道ガンなどの消化器系のガンでかなり良い延命効果を得ているようです。一部の消化器系ガンで保険適応にもなっているようです。


調べてみると実際には、これに期待するのは、まったく無駄な考えでした。頭頸部ガンに対してのエビデンスはなく、保険適応ではないので、おこなってくれる病院はあるはずもないし、おこなってくれるとしても、高額の医療費を覚悟しておかなくてはなりません。人間は、あきらめが肝心。あきらめるを漢字に書けば、明らめる。その意味は1−事情や理由を明らかにする。はっきりさせる。2―心を明るく楽しくする。気持ちを晴れやかにする。一時の気のまよい、あきらめてよかった。