安保徹教授の説にちょっと疑問

ガンを患ってから安保教授の本を何冊か読みましたが、その理論のすばらしさに感嘆するとともに、ちょっと違うのではという違和感がおぼろげに頭のすみにおきました。2009年10月9日発行の、安保徹著「40歳からの免疫力がつく生き方」を読み、それが何か、分かってきたような気がします。


ガン宣告は恐れるにあらず。ガンはある種、風邪よりも軽い病気だ。熱や痛みは直るときのサイン、取り除いたりしてはいけない。ガンを治す4か条。生活を変える、ストレスを取り除く、生活パターンを見直す。ガンの恐怖から逃れる、みずから治すという強い意志を持つ。免疫を抑制する治療を受けない。そして、副交感神経を刺激する。これが正しいのであれば私はきっと治るはず。丸山ワクチンをのぞけばそのように実践しているから。希望が大きく膨らみます。


長年、動物の医療の現場で仕事をしています。現場では、熱があれば解熱剤、炎症があれば抗炎症剤、蕁麻疹であれば抗ヒスタミン剤、むくみに利尿剤、ステロイド剤を使う場面も少なくありません。治療で使う薬のほとんどが、この本で非難されている、自然治癒力を妨げるという対症療法の薬なのです。人間とは違い動物はありのままに反応してくれます。病気であればじっとして、健康であれば元気に動き回ります。動物に対症療法の薬を処方したところ、ほとんどの動物がそのまま快方に向かっているのです。薬を使わなければもっと早く治ったなどとは思えないのです。薬の効き目がなくなった時点で再び悪化するということが認められないケースがほとんど。動物は正直です。高熱があれば、解熱剤を処方すればとたんに食欲を増し、そして元気をとりもどします。痛いところがあれば、鎮痛剤を処方すれば、元気に動き始めます。血流がよくなって、さらに回復は早まることでしょう。蕁麻疹だって抗ヒスタミン剤や免疫抑制をかけなければショックなど身体へのダメージはさらに広がっていくことでしょう。アレルギー反応は異物を排泄する反応。抗原を体外に排出しようとする治癒のプロセスを妨げてはいけませんという安保理論。少なくとも動物の場合は不快な部分を取り除いてやることが即、回復に繋がっているのです。


大勢の医療関係者は自分たちが行なっている対症療法が自然治癒力を妨げていることを日頃の医療活動において知っており、ただ利益のために、心ならずも従来からの対症療法を続けているという見方ともとれます。安保教授は医療関係者の多くが偽善者だと考えているのでしょうか。安保教授の多くの著作には欠けているものがあることを感じます。安保理論を実践してガンから生還した患者さんたちからの感謝の報告です。なぜ記載されていないのだろうかと。腰痛などであれば、鎮痛剤を使おうが使うまいが、患者の好きにすればよいこと。しかし、ガンに関しては対症療法の薬を使うほうがよいのか、使わないのが良いのかは大問題。みずから治すという強い意志を持つ。これだけは正しいことです。