原子力―放射線―ガン治療へ思いがはせる

先日、日本の首相が将来的に原子力発電に依存しない社会にすると断言した。今回の事故が起きなくとも原子力の恐さはだれもが知っている。なけれはないほうが良いとだれもが感じている。方法論抜きにして結論だけを述べるところはまるで小学生の発言のようだ。ついでに人を殺傷する武器も放棄、自衛隊も解散と断言すれればどうだったろうか。科学の進歩は止めることはできない。日本だけが原子力の平和利用や、それに関する研究をも放棄すれば、日本の国民はどれだけの代償を払えばよいのだろうか。


原子力放射線の平和利用といえばレントゲンなどの医療診断機器、そしてガンに対する治療機器がある。諸外国に比べて日本ではガン患者が放射線治療を受ける割合が少ないといわれている。手術の代わりにもっと放射線治療を受けましょうという放射線専門医が出した本がある。コバルトで治療を行ないますと言われたら、それは危険です。現在はライナックという治療機器があり、これで治療すべきですとも書かれてある。同じように、あと10年20年経った時にはサイバーナイフやガンマナイフが主流になって現在の治療機器は危険だと見られているかもしれない。ガンは蟹の形で触手を伸ばすように正常細胞に食い込んでいる。そのガンのところだけに放射線があたり正常細胞にはダメージがないようにするというのが現在の放射線機器の進歩の中味といえるだろうか。


なぜ、ガンを治療した後の再発では、ガンの増殖が早まるのだろうかという疑問をいつも感じている。それは、正常の免疫力もダメージを受けるからに違いない。身体の免疫を担う精鋭部隊の免疫細胞はガン細胞と接触する最前線のところで働いてガンが増殖するのを食い止めてくれている。これが私の免疫の仕組みに対するイメージ。つまり、ガンと正常細胞との境界線の部分が重要なところで、放射線治療というのは、この境界部分に対して敵も味方も一網打尽に破壊するというイメージがある。歴史小説の戦い方を見ても、こんなおおざっぱな戦法をとる武将が勝利したことはないと思うがどうだろう。まぁ、こんなことをガン患者が考えてもその影響は自分に及ぶだけ。だが、日本の将来が小学生のような頭の持ち主に握られていることは、国民にとって困ったことです。