ガン患者のぼやき

長生きすることが人生の勝ち組にあたるのだろうか。誰かが消えていく代わりに新しい生命が誕生することこそ喜ばしいこと。長寿者を祝う。それについてケチをつけるつもりはないのだが・・・。親戚のおじさんが認知症だった。たびたび家を飛び出して徘徊し、警察の世話になったことがたびたびあったという。長い間その世話をしていたおばさんのほうが先に亡くなった。狭い経験度からですが、認知症の方のほうが長生きをしているように感じる。それはストレスがないからだろうか。


ガンの宣告を受けてありがたいと思ったこと。人生について考える時間をもらったと感じるとき。余命がいくばくもないと感じなければ、今までの人生を振り返ったりはしなかっただろうと思う。人生の収支は死ぬ時はすべての人がトータルではゼロになるという説があるが、そうではないと思う。ほとんどの人は死ぬ間際にはマイナス収支と感じるのではないだろうか。他人の不幸は蜜の味、よくこの言葉を思いおこす。この先、今までのように人をうらやましく思いながら死んでいくのだろうか。


みずから命を絶つということがなぜいけないことなのか。キリスト教の影響に違いない。昔の武士は切腹、自害、自分の身の振り方は自分で決めていた。そして、だれもそれを非難する人はいなかった。実際に自害できるという気持ちがあれば、最後まで前向きに生きていける。正しい道を選択できる。手遅れですといわれたって、落胆することはないだろう。死の恐怖という最大のストレスを感じなくなり、末期がんから生還した人が実際にいる・・・という風なことが石原結實医師の本に書かれてあった。