国際ガン学会での成功

1974年(昭和49年)10月、イタリアのフローレンスでひられた国際ガン学会に丸山千里博士と藤田敬四郎博士は招待をうけた。その開催をしらせるイギリスの新聞に大きく報道されたことから丸山ワクチンはひときは会場で注目を集めていた。


今週からフローレンスで開かれる国際ガン学会において、日本の一医学者の、末期ガン治療における臨床成績が発表される。丸山千里博士は東京の伝統ある医科大学の学長であるが、博士は、人体の結核菌から抽出したワクチンが、がんに対してきわめて重要な武器となりつつあることを報告するだろう。ガンに対する化学療法、放射線療法、外科療法が、末期がんに対しては大きな障壁にぶっかってるというこの時期において、医学者の目は日ごとに、いま開発されつつあるガンの免疫療法に向けられつつある。丸山博士のワクチンは、この分野では独自の、おそらく最初のものであり、いろいろな点できわめて将来性のある発見であると思われる。通常、新しいガンの治療方法はきわめて用心深さが必要であるが、丸山ワクチンは今まで知られている限り、副作用がまったくない。日本の厚生省も、近くこのワクチンの製造許可に向かうものと思われる。丸山博士はしかし、この工業生産という問題よりも、大学の病院や大病院において、丸山ワクチンに対する医師の関心がもっと高まることを望んでいる。


1974年までのあいだに丸山ワクチンで治療を受けたガン患者の成績を発表した。ガンの治療を受けた総数2474人中、著効386人、有効785人、無効1303人。これらの患者はいずれも末期がんと呼ばれるもので、もはや手術不可であったり、再発して医師から見放されたケースもある。そのことを考慮に入れれば、この50パーセント弱の有効率の示す意味は小さくないと思われる。末期状態でないガン患者に使用すればもっと効果があるとは誰しもが考えることだ。この国際学会での発表は大きな反響を呼んだ。数々の激励や問い合わせの手紙が寄せられた。


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