ハチミツ→東銀座→築地がんセンター

川島茂著「ハチミツの危ない話」によると、1954年、ローマ皇帝・ピストウス12世が老衰により危篤状態におちいった際、医師団の1人であったガレアジイ・リシーが、ロイヤルゼリーを与えてみたところ、皇帝はみるみる元気になったとあります。ロイヤルゼリーは羽化後3日から12日前後までの若い働き蜂が咽頭腺から分泌する乳白色の液状物質。くちにすると少し酸味、渋みがある特有の味がする。ハチミツと花粉を原料とし、女王バチとなる幼虫や成虫となった女王蜂、働きバチでも若齢幼虫の餌として給餌されるもの。


この本で紹介されている養蜂業者が、先日ハチミツを注文した岩手県にある藤原養蜂場で、そのホームページをみると、東京都内でただ一ヶ所「いわて銀河プラザ」で販売されていると記されていました。地下鉄、東銀座の出口、歌舞伎座の対面に位置するところ。すぐさま、そこの場所が思い浮びました。それは、つい先日2度も出かけたところだからです。銀座内科クリニックと銀座東京クリニックへ漢方のセカンドオピニオンに出かけた際に、降りた駅が東銀座駅。があのとき、病院の帰り道に、いわて銀河プラザへ寄っていたとしても、ハチミツを購入することはなかったでしょう。


東銀座のとなりが魚市場の築地。歩いて出かける距離に、ガン患者にとっての聖地?である国立がんセンターの大きなビルがそびえたっていました。どんなところか覗いてきました。玄関からすぐのところのエントランスホールは吹き抜けになっていて、ジャックと豆の木のような大木の鉢植えがたくさん置かれてありました。たしかメタセコイアという木だったでしょうか? 病院に鉢植えの花を持って見舞いに行くといけない。それは、病人が寝付いてしまうから、などと真剣に言う人間に対しては、ばかなことをと一笑に付す側にいる私ですが、この鉢植えになった樹木の気持ちを考えたりさせられました。花は野にあってこそ美しく、樹木は自然のなかにあってこそ存在感がある。建物の中で雨風、気候の急激な変化の影響を受けることはありませんが、この鉢植えのなかで一生を終える。これはガン患者であることから沸いた感情に違いありません。