診察を受けてテンション低下

「今から何ができるか考えておきますのでまた来てください」と言われたので、2度目の診察を受けに出かけてきました。成書(教科書的な専門書)にある上咽頭ガンのところをコピーしたものを手渡してくれました。わざわざ私のために調べてくれたのだろうかと単純に感謝する気持ちが起きます。でもね、教科書に載るくらいの20年前、30年前と同じ治療法に幻滅を感じているから治療を断わったわけです。もっとも、そのあとで丸山ワクチンという50年ほど前から医学界では否定されてつづけている治療法を選択したのですが・・・


「あなたのガンはとても進行が遅い、だから今のうちに放射線で叩いておけば、ガンは小さくなって、あと7年や8年は生きることが出来る」「もっと生きたいのでしょう?」「その際は抗がん剤も併用したほうが効果が高いというデータがある」・・・治療法は一つ、4年前に治療を断わった患者であることを言っているにもかかわらず、同じ治療法を熱心に薦めてくれます。なぜ、治療を受けることを断わったのか、その理由を聞いてもらいたかったのですが、紹介状を渡していたので、たぶん、そこに丸山ワクチンの記述があり、はしにもぼうにもかからない治療法を信じているバカな患者と思われているのかもしれません。


「生存率もそうですが、治療の質も問題だと考えています。口に近いところへ放射線を当てるので、物が食べれなくなり、最悪の場合で胃ろうまでこしらえられるというのを想像してしまいます」と私。「私も胃ろう設置には反対している。胃ろうを作らなければならない状態であれば、そこまでして生きる価値はないと思っている。だから、今までわたしの患者で胃ろうを設置したことは一度もない」と老先生。逆に怖くなります。先生の患者になれば、口で食べれなったときには、根性でがんばって生きるしかないんだ。医学にうとい一般人であっても、今はネットなどで最新情報や治療成績のデータを検索することができます。同じガン患者さんからの闘病ブログを拝見することもできます。ベネフィットとリスクの両方を提示して、どちらかを患者さんに選んでもらうというのが正しい診察時の説明の仕方ではないかと思います。日頃は中耳炎や蓄膿症など治る病気ばかりを診ている耳鼻咽喉科医の先生にはガン患者の気持ちを考えてはいただけないように感じます。


ところで、放射線治療がガン細胞にダメージを与える理由は、細胞分裂を起こしているところのDNAを破壊することによるもの、ガンの進行が遅いということは、細胞分裂が正常の細胞と同じようなものであるということ、つまり、説明とは逆にガンの進行がゆっくりの際には放射線治療の効果が低下するのが正しいように感じます。さらに治療によって免疫力へのダメージが加わり、ガンの転移・増殖のスピードが逆に増すようにも感じられます。こんな疑問を医師に尋ねてみても、見解の相違になるので止めにしておきました。結構な時間をとって説得を続けてくれたこと。何も治療を行っていないガン患者が以外と長生きするのが我慢できないのだろうか、都合が悪いのだろうか、などと考えたりして、自分のひねくれさ加減がいやになりました。いやな患者だと思われていることでしょう。こんなときにガン患者の経験の数を老先生に聞くことなんか出来ませんよね。